リチウムイオン電池の試験の一つに振動試験があり、様々な試験規格に規定されています(試験規格についてはこちらを参考にしてください)。
試験規格は単電池だけでなく、組電池にも適用されます。多くの場合、20~25℃の室温雰囲気下で、満充電状態の試験サンプルに対して振動を加えます。
おおまかには、振動周期(Hz)、振幅(mm)、加速度(m/s2 またはgn)を制御しながら一定時間の振動を印加する試験です。「振動周期の2乗×振幅」が加速度と比例関係になるので、これら3要素のうち2つが決まると自動的にもう1つの要素が決まります。
各規格の振動試験は大きく分けて下記の2種類に分類されます。
①挿引型
振動周期を最小値から最大値の間で対数的に増加または減少させながらサイン波を印加する。このとき、振
幅と加速度のいずれか一方を固定し、他方の値を変化させる。振動周期を最小値→最大値→最小値で挿引す
ることを1サイクルとして、複数回のサイクルをxyz三軸方向に印加する。
②ランダム振動型
様々な振動周期、振幅のサイン波を多数混ぜた複雑な振動波形を印加する。サイン波の混ぜ方は、振動周期
範囲、加速度スペクトル密度(1Hz当たりの振動波の強さ)によって決まる。これらに加えて、振動を印加
する方向(xyzなど)と、振動印加時間を設定して試験を実施する。
振動試験の厳しさは基本的に加速度の大きさで決まります。振動試験の加速度の設定は、おおむね0.2gn~8gn程度の範囲にあり(1gn≒9.8m/s2)、各規格でそれぞれ異なります。
なお、試験サンプルの共振振動により特定の振動周期で大きな影響が出る場合があり、特に組電池ではその組立構造にダメージを与える場合があります。