環境安全性試験の試験項目について_No.34

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環境安全性試験は、温度・熱・圧力などの外的負荷によりリチウムイオン蓄電池にダメージを与え、耐えられるかを確認する試験です。
本コラムでは、環境安全性試験の試験項目についてご紹介します。

 

 

1、熱衝撃サイクル試験

熱衝撃サイクル試験とは、リチウムイオン電池(単電池あるいは組電池)に対し、短時間の大きな温度変化を繰り返し加える試験です。
ほとんどの試験規格において、高温側の温度設定は60~85℃、低温側の温度設定は-40~-20℃となっており、それぞれの温度帯で1~12時間程度維持することとされています。また、高温側から低温側への温度変化に要する時間は15~60分以内に規定されています。試験の際リチウムイオン電池の充電状態は80%以上と満充電に近い状態にする場合が多いです。


2、高温耐久試験

高温耐久試験とは、リチウムイオン電池(単電池)を通常使用時とは異なる異常な温度に曝す試験です。
小型民生用や車載用では130℃程度、産業用では85℃程度の高温に曝します。試験の際のリチウムイオン電池の充電状態は基本的に満充電状態とします。規定の温度上昇によって熱暴走が起こらない事を確認します。


3、過昇温保護試験

過昇温保護試験とは、リチウムイオン電池(組電池)に搭載された保護回路が、異常高温を検知して充放電動作を確実に停止させることができることを確認する試験です。
試験の際にはリチウムイオン電池を充放電させながら温度上昇させます。ただし高温耐久試験ほどの温度にすることは稀で、基本的にはリチウムイオン電池の充放電許容温度+α、おおまかには60℃程度の温度までにとどまる場合が多いです。


4、火炙り・耐類焼試験

火炙り・耐類焼試験とは、リチウムイオン電池(組電池)に対して炎を接触させる(火炙り)、あるいは何らかの手段でそれと同等の状態を作る(耐類焼)試験です。
火炙り試験では、組電池のケース内部の緩衝空間など、単電池内部に対する熱伝導を遅らせて熱暴走を防止する性能が十分であるかを確認します。
これに対し、耐類焼試験の場合は組電池内部の単電池一つを加熱して熱暴走させ、この熱暴走の熱が周囲の別の単電池に伝播して熱暴走が起こらない事を確認します。試験の際のリチウムイオン電池の充電状態は基本的に満充電状態とします。


5、結露・塩水噴霧・水没試験

結露・塩水噴霧・水没試験とは、リチウムイオン電池(組電池)に対し、温湿度変化によって結露させたり、塩水を噴霧したり、水中に沈めたりする試験です。
これらの試験操作によって、本来絶縁されているはずの端子間を短絡させます。試験の際のリチウムイオン電池の充電状態は満充電状態であるものが多く、短絡によって大電流が流れる可能性がありますが、それでも熱暴走しないか、あるいは大電流を保護回路が確実に遮断する事を確認します。


6、減圧試験

減圧試験とは、リチウムイオン電池(単電池あるいは組電池)を11.6kPaの低圧雰囲気に曝す試験です。この低圧条件は、航空機によって高度15000m程度まで上昇した際の減圧状態を模擬したものです。特に薄く柔らかいアルミラミネートフィルムを電池容器としたラミネートセルの場合には、電池内部材料の真空注液とシーリングが十分でないと、容器ごと減圧によって膨らむことがあります。このような状態で熱暴走等の事象が起きないことを確認します。

【参考記事】

次の記事で、リチウムイオン電池に関する代表的な性能試験・安全性試験にどのような規格があるか紹介しています。

リチウムイオン電池の性能・安全性に関する各種試験規格とは?

 

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