リチウムイオン電池のエネルギー効率劣化_No.31

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これまで、リチウムイオン電池の劣化現象として

 ・容量劣化(満充電容量の低下。SOH: State of Health を指標とする)
 ・出入力劣化(最大充放電電流または電力の低下。SOF: State of Function を指標とする)

については議論されてきていたものの、第3の劣化現象であるエネルギー効率劣化についてはこれまであまり活発に議論されてきませんでした。

しかし今年春にエネルギー効率劣化に関する論文報告(下記リンク参照)があり、そこではNiMnCo三元系正極とリン酸鉄正極のリチウムイオン電池の劣化に伴うエネルギー効率低下が議論されています。

"Efficiency Degradation Model of Lithium-Ion Batteries for Electric Vehicles"

この論文には、リチウムイオン電池の充放電エネルギー効率の微分値(瞬時値)が充電率(SOC:State of Charge)によって変わる事が示されています。ある充電率における充放電エネルギー効率の微分値は、その充電率での充電電力と放電電力の比率によって決まり、また全体の充放電エネルギー効率は積分値として求める事ができます。従って、微分積分によって充放電エネルギー効率を求めるためには、充電電力と放電電力をモデル関数化する必要があります。

出力が一定でない再生可能エネルギーを電力系統に安定的かつ大量に導入するため、多数のリチウムイオン電池がIoTで有機的に接続・連携されたクラウドバッテリーが期待されています。クラウドバッテリーの運用においては、個々のリチウムイオン電池の充放電エネルギー効率を考慮した最適運用が経済性向上につながると考えられます。なぜならば、放電エネルギー効率の低いリチウムイオン電池を利用することによって電力エネルギーロスが増加し、より多くの電気料金を支払う事になるからです。

従って、充電電力と放電電力のモデル関数化はクラウドバッテリーの経済運用に役立つと考えられ、その発展が期待されます。
※充電電力と放電電力のモデル関数化の一事例は、博士論文「リチウムイオン蓄電池の効率劣化診断の研究」にまとめております。

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