リチウムイオン電池は使用中に発火・破裂・爆発事故が発生する危険性があります。
安全性試験は、リチウムイオン電池がこのような危険・事故につながる現象のパターンを想定し、実際に電池に負荷をかけて安全性(発火・破裂・爆発が起こらないこと、あるいは保護回路が動作して危険な事象が起こる前に停止することを評価する試験です。
安全性試験は、「環境安全性」「電気的安全性」「機械的安全性」に大別・分類することができます。
安全性試験の大別から試験内容をご紹介します。
※当社では安全性試験装置を保有しておらず、協力会社での実施となります。
試験条件によってお請けできない場合がございます。
温度を維持する時間、および変化させる時間を規定した上で、高温と低温の雰囲気入れ替えサイクルを一定回数繰り返す。
通常使用の条件とは異なる、異常な高温雰囲気に曝す。なお温度雰囲気ではなく火炎を接する事で高温に曝す試験もあり、これは耐火性試験と呼ばれる。
通常使用条件の上限閾値に近い領域の高温雰囲気において、充電を実施する。
通常使用条件の上限温度を超える雰囲気の中で充放電を行い、保護回路が想定通りに正しく動作する事を確認する。
火炎に接して炙る、あるいは一部の単電池を抵抗器やレーザーで加熱して、電池を高温条件下に曝す。
温湿度制御可能な槽の中に電池を設置し、温度と湿度の条件を規定の時間とサイクルで適切に制御することによって結露と乾燥を繰り返し発生させる。
通常使用条件の上限温度を超える雰囲気の中で充放電を行い、保護回路が想定通りに正しく動作する事を確認する。
水槽の中にリチウムイオン電池及びその構造体を沈める。
リチウムイオン電池を減圧槽に入れ、規定の高度を模擬した低圧の雰囲気に一定時間曝す。
既定の温度条件においてリチウムイオン電池のプラス(正極側)端子とマイナス(負極側)端子を短絡させ、短絡電流を流す。
リチウムイオン電池の内部にニッケル小片を挿入して加圧する、あるいは金属製の釘を刺すなどして、電池内部の正極と負極を直接的に短絡させる。
リチウムイオン電池を、本来の正しい方向とは逆向きに充電電圧を印可し、強制的に充電電流を流すことによって、正極と負極の電位の符号関係を逆転させる(これを転極と呼ぶ)。
充電率の異なる単電池を少なくとも1つ以上含んで構成されたモジュールを充電し、一部の電池が充電率100%を超えて充電されようとしたときに、保護回路が動作するなどして安全が確保されることを確認する。
既定の温度条件において、満充電状態での長期間の定電圧充電を行い、期間内に発火・破裂・爆発などが無いことを確認する。
リチウムイオン電池の既定の上限電圧を超える方向に充電を実施し、発火・破裂・爆発等なく推移すること、あるいは保護回路が動作し充電電流を遮断することを確認する。
リチウムイオン電池の既定の下限電圧を超える方向に放電を実施し、保護回路が動作して放電電流を遮断することを確認する。
既定の加速度・振幅・周波数の振動サイクルを、規定の時間電池に印加する。
振動サイクルは三次元の各方向にそれぞれ実施する場合が多い。なお、電池の重量によって試験条件が変わることがある。
既定の加速度・持続時間・回数で、瞬間的な強い衝撃パルスを電池に印加する。
一般的に加速度は振動試験のそれよりも強い場合が多い。また、衝撃パルスは往復方向の振動と異なり一方向なので、三次元の±各方向で計6方向に実施する。なお、電池の重量によって試験条件が変わることがある。
既定の圧力と時間で、強い力をかけて電池を押しつぶす。なお、電池の変形量に応じた変則条件が含まれる場合もある。
既定の圧力と時間で、強い力をかけて電池を押しつぶす。なお、電池の変形量に応じた変則条件が含まれる場合もある。
規定の方向・角度・高さから電池を落下させる。なお、電池の重量によって落下の条件が変わる場合がある。
既定の角速度と向きで回転させる。回転の向きは三次元の各方向である。回転試験は単独で実施するというより、衝突試験など他の試験を実施した電池に対して行う事が多い。
蓄電池評価試験サービスに関するお客様からよくいただくご質問とその回答をまとめております。
Q
大量の蓄電池を長期間にわたって充放電したい。専用の試験スペースと装置類を確保して試験をすることはできますか?
A
当社の事業所内に専用スペースを設け、装置類を導入して試験を実施することが可能です。実施可能な期間や費用は内容により変動しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
Q
規格や試験項目が多すぎて何を実施したらよいかわかりません。
A
お客様の蓄電池およびその利用目的に合わせた試験項目をご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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